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2011. 8. 23 vol. 15 

下町マップ制作始まる
 下町エリアの歴史的な建物に光をあてる「下町たてものマップ」の制作が始まりました。古町周辺の「町屋マップ」、「異人池・ドッペリ坂界隈マップ」、「古町花街マップ」に続く四つ目のマップになります。
 第1 回目の制作会議では、だいたいのマップのエリアを決めて、取り上げる建物を列挙しました。○○の建物はどうなった、とか、○○通りの○○の建物って古いんじゃないの、とか、ついつい話が拡がり、時間はあっという間に過ぎていきました。
 第2回目の会議では、ラフを見ながら何を盛り込むかを相談しました。次第にマップのイメージがくっきりと浮かび上がってきています。

マップ制作は、新たに世話人となった伊藤頼子さんを中心に作業を進めています。

町屋部材を移転
 5月27日、移築再建に向けて保管していた町屋部材の、移譲を前提とした移動を行ないました。
 思い起こすと部材は、好意により建設会社さんの敷地を2回にわたり移転、その後聖籠の二宮家米蔵、米蔵軒先、そして市から一時保管の協力をいただき、今回五泉の工務店さんの倉庫へと、幾度となく移転を繰り返してきました。今回が最後の移転になると思います。
 町屋再建に向け、部材は今まで以上に良い環境での保管となることでしょう。近い将来何らかの形でこの町屋が再建できることを願っています。(伊藤純一)

部材を移転する現場


全国町並み保存連盟に加盟
 検討を重ね、このたび加盟したNPO法人「全国町並み保存連盟」は1975年に設立され、約70団体が参加しています。毎年開催される全国町並みゼミには、市民、行政、研究者、学生など数百名が参加。最新情報を交換し、交流を深めています。
 今年の第34回全国町並みゼミ飛騨市大会は、9月30日(金)から10月2日(日)にかけて開催されます。参加希望の方は、事務局までお知らせください。(岡崎篤行)

総会と小澤邸の特別見 下町あるきも

 5月14日(土)、新潟市歴史博物館で平成23年度総会を開催しました。前年度の事業報告・会計報告と本年度の事業案・予算案は、ともに承認をいただきました。
 総会のあと、当会で保管している町屋部材の報告会を行ないました。大倉代表が、10年近く前の、移転前のギャラリー新潟絵屋の近所にあった町屋の住人との出会いから、外見からは分からない奥深い町屋の魅力に魅せられたこと、その町屋も広小路の拡張にともない取り壊されそうになったこと、町屋の移転再建を目指す活動を始めた経緯などを、撮りためた写真を見せながら説明しました。
 スクリーンには町屋の公開イベントの様子、取り壊しの作業を追った一連の写真が映し出されました。広小路拡張前のまちなみに懐かしさを感じられた方も少なくなかったのではないでしょうか。
 続いて岡崎副代表が新潟の町屋についてレクチャーを行ない、それから旧小澤邸に向かいました。新潟市のご好意で、公開に先立って特別に見学させてもらったものです。
 改修前の小澤邸を拝見したことのある世話人は、耐震工事の、金属の柱と筋交いを部屋のあちこちに取り付けるやり方に強い違和感を感じています。
 とはいえ、近代初めの新潟の町屋を代表する堂々たる建物です。凝った意匠のほどこされたお座敷に立つと湊町の繁栄がしのばれます。(千早和子)


部材の報告会から

 当会発足の出発点になったのが、旧東厩島町の町屋の「移築支援」運動でした。運動の結果、市民の募金の助力で解体された町屋の部材が、その後当会所有となりました。
 明治20年代に建設されたと推定される「ミセ」部分のない専用住宅であった同町屋の間取りや造りは、明治40年代に建てられたと推定される旧小澤家住宅の「町屋」部分と酷似しており、当時の新潟の町屋のひとつの標準形を伝えていると思われます。
 屋外保管の時期も長かった部材は、新しい所有者の手に今後が委ねられることになりました。何らかの有効活用がなされる時には、当会としても全面協力してゆきたいと思っています。(大倉宏)
解体が進み、軸組だけになった町屋。通り土間に陽光が射し込む。

2010 年度会計報告


連続講座 初心者のための「ふるまち新潟をどり」開催

 今回初のこの講座は、新潟が誇る財産である「ふるまち新潟をどり」を、より深く楽しむために企画しました。
 日本舞踊市山流家元の市山七十世(いちやま なそよ)さんから、実際の扇や小鼓を用いながら、鑑賞の壺を教えていただきました。私も花街の舞踊公演である「をどり」の歴史などについて、お話しさせていただきました。
 若手芸妓の雪江さん、ほのかさんもご参加くださり、和やかかつ華やかな雰囲気で、12名の受講者の方々にも好評だったようです。
 新潟をどり当日は、例年より多くの観客が集まり、当会の企画も貢献していると評価していただいたのは、望外の喜びです。講座は来年も実施予定ですので、ぜひご参加ください。(岡崎篤行)

市山七十世さん

世話人自己紹介

マイブックより
マンホール

 6月から二人世話人が増えました。 

伊藤頼子さん
 2年前、新潟市民大学の新潟学講座を受講、新潟の面白さに目覚めました。なんでもっと早く新潟の魅力に気付かなかったのか……嗚呼、勿体無い!と巷を漂っていたところ、「新潟まち遺産の会」の伊藤純一氏に一本釣りされ、このたび下町マップ作成の役目を仰せつかりました。思わず欲しくなるマップを作成したいです。どうぞよろしくお願いします(江南区在住・建設会社(設計)勤務)。
※ 趣味でマイブックに日々いろいろを描いています。

佐野育実さん
 新潟大学都市計画研究室の卒業生です。出身は山梨です。東京で働いた後、再び新潟で暮らしています。
 古い町並を見ると心が躍ります。新潟のまちづくりや観光の発展に繋がることがしたいと思い入会いたしました。

解体された町屋の思い出


(写真左から)
移築支援運動の一環として開催したイベントのちらし。/在りし日の町屋の座敷。/床の間と書院。


世話人リレーエッセイ 戦後建築にも目を向けるときが来ている?

 本会と花街のまちづくりで交流のある東京神楽坂のNPO法人粋なまちづくり倶楽部では、東京大学などと協力して、神楽坂界隈にある戦後建築の実測調査を行い、5件の登録有形文化財の登録を行ったそうです。
 国の制度では、建築後50年を経過したものは、登録有形文化財の対象とされていますので、戦後の建築であっても昭和30年代前半までは、その射程に入ってきているのです。
 空襲により戦前建築を焼失した神楽坂では、戦災からの復興のなかで昭和20年代に再建された料亭や住宅が、現在、マスコミにもよく取り上げられる趣のある空間の重要な要素となっています。それを何とか残そうと取り組んでいるのです。
 幸い戦災を受けなかった新潟では、下町の町家、古町花街の料亭・茶屋・元置屋の建物、西大畑から関屋松波町にかけての洋館付き住宅、水道町の旧市営住宅など、戦前の建築がたくさん残っていますので、それらをどのように活用しながら継承していくかが、まずは大きな課題になっています。
 一方で、「昭和」という時代が歴史になりつつある昨今、戦後の建築にも目を向けて、まち遺産として残す努力を始めなくてはいけない気もしています。残したい戦後の建築、皆さんの周りにありませんか?(今村洋一)


渡辺写真館その10


 本町通り12番町にあった木造3階建ての丸洋商店。右は2000年に同じ場所を撮影したもので、駐車場になっています。


編集後記

 あまりの暑さに、しもまちマップの調査もままなりません。現地調査は涼しくなってから本格始動します。
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 毎月第2火曜日の6時から、市民活動支援センター(西堀)でマップ会議と世話人会を開き、会の活動について話し合っています。お気軽にご参加ください。日時は変更する場合がありますので、事務局にご連絡ください。



新潟まち遺産の会事務局
〒951-8066 新潟市中央区東堀前通1-353(伊藤純一アトリエ内)

Tel:025-228-2536 Fax:025-228-2537

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