去る9月28日、三業会館(新潟市中央区西堀前通9)において、第6回柳都新潟・古町花街イベント「花街の景観まちづくり最前線」が開催された。京都から先斗町(ぼんとちょう)まちづくり協議会の関係者が講師として招かれ、先斗町における屋外広告物の整理や情報発信の取り組みの報告、古町の今後のまちづくりについて白熱した議論が行われた。同時開催の「ブラニイガタ番外編〜古町花街の料亭拝見」はキャンセル待ちが出るほどの人気となり、多くの人に古町の魅力に触れてもらった。
花街は、建築や日本舞踊など、ハードからソフトまでのあらゆる日本文化を包括的に継承した純和風の都市空間といえる。近年、この花街の文化的景観を保全し、地域活性化を図る取り組みが全国で見られるようになっている。その先進事例の一つが先斗町だ。
先斗町は、京都を南北に流れる鴨川の右岸、三条大橋と四条大橋の間に位置する。地区の中心を幅員2メートル以下の先斗町通りが貫き、通りに面してお茶屋を始めとした歴史的建造物が軒を連ねる。
戦前、先斗町通り沿いには160軒を超えるお茶屋があった。しかし、現在は25軒まで減少し、その代わりに飲食店の数が増えている。「飲食店の増加によって、花街としての先斗町らしさが希薄になっているのではないか」。そんな危機感から先斗町のまちづくりは始まったという。そのため、今回の花街イベントでは、花柳界と飲食店の共存について多くの議論が交わされた。
古町もまた、料亭と飲食店が共存する花街であり、先斗町まちづくり協議会の仕組みに興味を引かれた。
この組織は、地区内の全ての住民、事業者によって構成されている点に特徴がある。つまり、お茶屋や料理店といった立場を超えて、1人の住民として対等に議論できる場が形成されているのだ。そして、このような特徴を持つ協議会は、屋外広告物の整理という大きな事業を成し遂げた。設置ルールを決めて、住民で協議することで、先斗町通りの上にせり出していた屋外広告物を取り除いたのである。協議会事務局の並々ならぬ熱意と努力に敬意を払いたい。
さて、古町にも料亭と飲食店の関係者が、共にまちづくりを考える「古町花街の会」ができた。次の一手は、具体的な景観の整備に手をつけることだろう。この時に、きっと先斗町まちづくり協議会の議論や活動の方法が参考になるのではないか。今回の花街イベントがその契機になればうれしい。
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