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平成17年 1月13日
新潟県知事 泉田 裕彦 殿
新潟まち遺産の会
代表 大倉 宏

特定非営利活動法人新潟水辺の会
代表 大熊 孝

特定非営利活動法人まちづくり学校
代表理事 小畴 弘一

都市環境デザイン会議・新潟
関本 雅和

にいがた寺町からの会
事務局 横山 裕
副知事公舎の保存と活用について(お願い)

 昨年9月17日付けの新潟日報に、県が財政健全化の一環で、営所通2番町にある副知事公舎の土地、建物を、来年度にも売却したい意向である旨の記事が掲載されました。これまでの多くの例から、仮に民間等に売却された場合、現在の公舎の建物が取り壊されてしまうことが危惧されます。
 副知事公舎は、明治期に建設された知事公舎が取り壊されてしまった今では、県所有の歴史的意義を持つ建造物として貴重な県民の財産ですが、建築それ自体をとっても、次の2つの点において重要です。
 第1には、すでに保存・活用が決まっている新潟市長公舎(西大畑町)と同じ、俗に「洋館付き住宅」と呼ばれる特徴的な建築だということです。洋館付き住宅とは、和風住宅の玄関脇に、外観も内装も洋風の応接室を付加した和洋折衷の住宅形式です。大正から昭和初期にかけて、当時、勃興してきたサラリーマン層を中心に、全国で流行しました。新潟でも、関屋松波町、西大畑、二葉町一帯に多く見られます。なかでも、副知事公舎や市長公舎は、一般の洋館付き住宅よりも規模が大きく、また建設時期も早くなっています。特に副知事公舎は、市長公舎より1年早い大正10年に建設されており、おそらく新潟市で最も古い洋館付き住宅であると考えられます。さらには全国的にみても、この種の建築の極めて初期の建築の一つである可能性があり、この観点からの調査が望まれます。このように副知事公舎は、新潟の文化史上、そして日本の近代住宅建築史から見ても重要な価値を持つ建築といえます。
 第2に、副知事公舎が位置する一帯は、下町の旧小澤邸一帯と並んで、新潟の都市景観にとって、きわめて重要な地区だということです。ドッペリ坂を囲むこの地区には、市長公舎のほか、旧日銀支店長宅、カトリック協会、北方文化博物館分館、金井文化財館など、欧風文化を採り入れた歴史的建造物が数多く残っており、明治に開港五港のひとつとなった近代新潟のシンボルといえます。ここに副知事公舎が加われば、さらに魅力的な観光・文化施設の集積が実現します。このように副知事公舎は、新潟のこれからのまちづくりにとっても、重要な資源といえます。
 新潟県、そして新潟市にとって、このような重要な価値をもつ建物が、売却により取り壊しの危機を迎えることを深く憂慮します。売却の方針を是非再検討して下さい。副知事公舎としての機能が必要なくなっているのならば、その風情のある建築と立地の良さを生かして、民間に貸与してレストラン等に転用することで、新たな利益を生む方策も十分に考えられます。こうした新たな活用策の検討については私たちも共に考え、智恵を出させていただく用意があります。
 また、残念ながら発表通り売却を行う場合には、建物を保存・活用する意思と具体案のあることを買い手の条件とするなど、副知事公舎の貴重な建物が、今後の新潟のまちづくりに生かされていくための方策のご検討をお願いする次第です。


新潟まち遺産の会事務局
〒951-8066 新潟市東堀前通1-353(伊藤純一アトリエ内)
Tel:025-228-2536 Fax:025-228-2537


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