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2005年1月19日 新潟日報掲載
寄稿エッセー

新潟文化が薫る副知事公舎

岡崎篤行
(新潟大学工学部助教授)
門から見た副知事公舎、手前が洋風の応接室、奥が玄関、土地407坪、建物84坪と広大

周辺地図

 

 日本でも右肩上がりの経済成長が終わり、都市間競争時代に入ったといわれています。簡単に言えば、パイが拡大していた時代は、あの都市もこの都市も発展できたのが、パイの大きさが変わらないか、あるいは小さくさえなり、どこかの都市が発展すれば、代わりにどこかは衰退する傾向が強まるということです。各都市は魅力を高め、内外にアピールしていかなければ生き残れない時代なのです。
 都市の魅力には、利便性などの機能面も、もちろん重要ですが、ほかにはない歴史や文化が、もう一つの柱です。例えば同じ日本海側の中核都市である金沢と比べて、歴史や文化などの個性面で新潟が劣っている感は否めません。しかし、決して新潟に歴史や文化がないわけではなく、その認識やアピールが足りないように思うのです。
 新潟の歴史的魅力を体感でき、今後のまちづくりの核となる最重要の地区として、私は3つの地区があると考えています。その1つが、どっぺり坂を中心とした二葉町、西大畑町、営所通などの一帯です。ここには、金井文化財館、カトリック教会、北方文化博物館分館、市長公舎、旧日本銀行支店長役宅など、特に洋風文化を取り入れた歴史的建造物が数多く現存します。異人池の物語や文人たちの足跡とも相まって、近代以降のハイカラな新潟文化の象徴として、大きな可能性を秘めているのです。
 県の財政再建で来年度にも売却の方向と報じられた副知事公舎(営所通2)も、まさにこの地区にあります。洋館付き住宅と呼ばれる独特の様式で、同様の市長公舎より1年早い大正時代の1921年に建設されました。全国的にも初期の例として価値の高い建築です。先日、5つのまちづくり市民団体から保存・活用の要望書が県に提出されました。財政負担を検討するのは当然ですが、貴重なまちづくりの資源を無為に失うことは避けなければなりません。

 


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