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2008. 7. 1 vol. 10 

 6月22日(日)に砂丘館で、世話人・会員併せて14名が出席して2008年度総会が開催されました。
昨年度の事業報告と会計報告、本年度の事業計画と予算案の発表、質疑応答があり、了承されました。会計報告と予算案は2頁に掲載しました。
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 午後は「町屋マップ 2007」を案内板にまちあるきを行ないました。今回は恒例のガイド付きまちあるき(参加者10名)のほか、撮影会コースを設けて、鍋茶屋のある新道周辺を探索、下町を通り、みなとぴあ(市歴史博物館)まで1時間半ほどを廻りました。飲物が欲しくなるような蒸し暑い陽気でしたが、雨も降らずまずまずのまちあるき日和でした。
 新潟島の中心部にある東新道・西新道は料亭街・飲み屋街。昼間はどの店も門を閉ざしているし、わざわざ路地に入っていく用事もありませんから(入っていきにくいですし)、足を踏み入れたことのない方も少なくないでしょう。
 けれどもここは歴史ある建物が軒を連ねた、まち遺産の会としては声を挙げて推奨したい隠れた名所です。まきあるきではふだん見過ごしている建物を丁寧に見て歩き、風情ある古い建物を残しているのは鍋茶屋だけではないことが実感できました。
 新道を抜け、広小路に面した画廊絵屋に近い町屋N邸ではご厚意で家内を拝見、今では珍しい大戸も見せていただき、興味深そうに見入る参加者もありました。旧小澤邸でも内部を案内していただいて、内側から町屋の魅力に触れることができました。
 2コースの参加者はさらにあちこちの路地をのぞきながら下町を歩き、3 時過ぎにみなとぴあで合流。セミナー室で撮影した写真をスクリーンに写しながら講師の村井勇さんのアドバイスを受けたり、まちあるきの感想を述べ合ったりして、4 時半に解散しました。
 撮影会ははじめての試みで、参加者が集まるだろうかという心配をよそに定員を超える13名の方が集まりました。建物だけでなく、興味をひかれたものをどんどん撮影されているのが印象的でした。
 ただ、段取りや、写真の発表のやり方には工夫の余地があったのではと感じています。とくに写真の講評会は、撮影会ではないまちあるきコースに参加された方々にも楽しんでいただけるような配慮が足りなかったのでは、と気になるところがありました。次の機会には、みなさんが楽しめるように工夫していきたいと思います。(千早和子)

撮影会の参加者、斉藤義明さん撮影
 大正期の建物と風雅な大庭園、行形亭に連なる白壁の緑豊かな景観が存亡の危機にあります。
 新潟市西大畑町で、風格ある邸宅街のたたずまいを保っている旧斎藤家夏の別邸。現在居住者はおらず、売却が決まっています。
 保存するためには市民サイドにも具体的な行動が求められています。

 新潟まち遺産の会の活動も5年目に入りました。
 市民活動を地道に継続してくことの難しさと大切さを実感として感じる時期にきています。
 昨年度は秋に、新潟の隣町である聖籠にある旧家二宮邸の米蔵で、文化庁の歴史的建造物活用モデル委嘱事業として、堀川久子の舞踏公演を行ないました。堀川さんの周到な準備と二宮家の米蔵のもつ歴史性や空間の魅力への深い洞察と共感に富んだ演出構成と、出演者たちの個性的で集中度の高いパフォーマンスの力で、雨にもかかわらず、集まった多数の観客は歴史的な場所を、ひとつの劇的な時間のイメージとともに持ち帰ることができました。当日の公演の模様をおさめたDVDも作成しましたので、ご覧になりたい方は会までお問いあわせ下さい。
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 新潟市の市域も広がり、隣町であった旧小須戸、白根、西川町などにも豊かな歴史的町並みの遺産が残ることが、意識されるようになってきました。また当会の原点である新潟下町に近い、新潟古町の裏通り、通称「新道」にも、料亭、置屋、待合いなどの花街の建造物が多数残ることが世話人会でもしばしば話題に上るようになり、今年は秋にこの新道に焦点をあてた町歩き、シンポジウムの開催を計画しています。
 日々の生活の近いようで遠い、すぐそこの異国である花街の文化を知り、どうそれを今後に伝えていけるのか、考える機会としたいと思います。多数の会員の方々の参加をお待ちしています。
 活動の出発点であった旧東厩島町の町屋の解体部材も、引き続き再建の可能性を探っていきます。
 そして原則、第2 火曜日に新潟市市民活動支援センターで開催している世話人会への会員の皆様の自由参加もお待ちしています。(大倉宏)


2008年度事業計画案

■シンポジウム・イベントの開催
  8月.27.日(水) 兼松紘一郎氏(建築家)との懇話会
        「保存問題の最前線(仮題)」
  9月2日.(火) 講演会 テーマ:町屋
         講演者:大場修・京都府立大教授  
  11月.1.日(土) シンポジウム 
         テーマ:新潟の花街・古町新道界隈
■まち歩きの開催
  6月22日.(日)  総会後のまちあるき 済み
  11月1.日(土)  古町新道方面のまち歩き
■会報誌の発行
  今年度10 号.11 号.12 号 発行予定
■要望提案
  旧斉藤家夏の別邸の活用を要望する運動を行なう
■新潟町屋解体部材に関して
  引き続き新潟市に対して部材の寄贈申し入れを行なう
  移築用保管部材のメンテナンスおよび管理
■他市他団体への協力と参加
  全国町並み保存連盟への参加を検討
  新潟県まちなみネットワークへの参加 
    H 20 年度総会に参加
  早川堀つつじまつりに参加 済み
  古材文化の会(京都)主催・古民家再生イベント「甦った佐渡原黒の家を囲んで」
                                共催  済み
    6 月7.-8日. シンポコーディネーターに世話人
  昔ながらの地域の盆踊りを応援する会主催イベント 
   「新潟甚句の時をさかのぼって」 後援 7月.19日.
  下町ウォークに参加 協力
■ポストカードの製作
  新潟市の歴史的建造物のポストカードの作成、販売
   (撮影・村井勇さん)


2007 年度決算報告
収入の部
支出の部
会費    298,000
寄附金   048,364
原稿料   010,000
事業収入  183,600
利息    084,618
前年度より繰越 452,929


印刷費     162,975
会議費     011,749
会場使用料   006,600
交通費     015,890
仕入れ     001,000
消耗品     007,623
資料作成費   020,500
賃借料     008,595
(アピールブース)
通信費     074,910
部材保管費   215,250
(含・移動運搬費)
振込手数料   010,214
来年度へ繰越  458,034


収入小計    993,511
特別会計   2,164,769
(文化庁委嘱事業)
支出小計    993,340
特別会計    2,164,940


収入合計   3,158,280 支出合計   3,158,280


 新潟市西大畑町にある斎藤家夏の別邸の保存を求める請願を、当会を含む九つの団体で昨年12月議会に提出し、採択されました。これを受けて昨年末には、篠田新潟市長に市としても前向きに検討するよう、関係団体と賛同者有志によるお願いを申し入れました。
 このような状況を受けて、現所有者は庭園と建物の主要部分の維持を前提とする競売を行いましたが、不調に終わったとの情報が伝えられてきました。
 今後、行政等が積極的に対応しなければ、条件が緩和されて民間に売却され、新潟の大名庭園とも言うべき素晴らしい庭園と、大正期の屋敷構えを残す邸宅が失われてしまう可能性が高まってきました。
 新潟市は現在、財政的に苦しい状況にあり、購入は難しいという意見も当然ありますが、国の補助事業等に組み入れて購入する手法も考えられます。市の財政に極力直接の負担をかけず購入、活用する方法を市民の側からも提案し、さらに署名、募金等の活動で市民の意思を示していくことが保存の実現への重要なステップとなってきました。
 今後の市民運動をどう開始していくべきか、その話し合いが始まっています。(大倉宏)

旧斎藤家夏の別邸の庭園と建物

 当会の活動の原点となった東厩島の町屋。会報でもたびたびお伝えしてきましたが、解体した部材は現在当会で保管し、新潟市に再生と活用を申し入れています。保管が金銭的な負担になっているというご意見もあることは世話人一同も承知しておりますが、町屋の再生は当会の大きな目的のひとつです。
 当会が発足したころに比べ、街並みや町屋には多くの注目が集まるようになりました。が、その一方で、4頁の記事でも書いたように町屋はどんどん姿を消しています。だからこそ、この町屋の再生と活用を実現することには意味があると考えています。
 当会も発足5年目を迎え、会員の方々のなかには東厩島の町屋のことをご存じない方もおられるのではないかと思います。この町屋のことは、「新潟市東厩島の町屋 調査・解体報告」という冊子にまとめています。家屋の調査記録、お住まいだった方からうかがった家の歴史、解体・部材保管への経緯などを知ることができます(500円・送料別・残部僅少)。(大倉談)
撮影会まちあるきで参加者の方々が撮った写真です。

←屋根の上の置物です。本間莉恵さん撮影。

建物ではありませんが、とっておきの1 枚です。田代晴美さん撮影。
後方でカメラを向けているのも参加者の方々です。講評会でもみなさん
自選作品に芸妓さんの写真を入れておられました。
町屋の玄関。城朱美さん撮影。
旧小澤邸の丸窓の飾り。塚田知次さん撮影。

 上大川通りのT 邸が取り壊されました。5 年前に取り壊しの話が伝わったとき、町屋を生かす会(当会の前身)では見学会を行ない、保存の要望書を市に提出すなど保存の路を探ったのですが、まとまらずに終わりました。旧市内ではめずらしい、明治期に建てられた大規模な商家でした。

 また、下の写真は本町通5 番町で撮影したものです。ここには仕舞た屋があったのですが、取り壊され、写真のような更地になっていました。跡には2階建ての共同住宅(ワンルーム)が建つとのこと。あちらこちらでどんどん町屋が姿を消しています。(千早)


 私たちの町が政令指定都市に移行してから早くも一年が過ぎました。新しく敷かれた区政はそれぞれの地域の特徴を、是非の問題はあるにせよ、色々な観点から見直すのに役立っているようです。
 それぞれの区の政策企画課は、区民から意見を集め「区ビジョンまちづくり計画」なるものを策定し、それぞれの区の特徴を生かした取り組みを開始しました。これは、それぞれの区がこれから担うべき役割を明確にしていく上で役立つであろうと期待されているようです。しかし、いくら「器」が整えられても、その「中身」が充実していなければ意味が無いのは周知のとおり。
 「住む人の心を離れ住居なし(法隆寺棟梁に伝わる口伝の一節)」とは、正にこのことです。これは、住居が住む人の心を組み入れたものでないと住居とはいえないという戒めですが、これを「住む人の心を離れメまちモはなし」と読み替えてみるとどうでしょうか? つまり、メまちモも住む人の心を組み入れたものでないとメまちモとはいえないノノ。
 この聞けばなんとも単純明快なことが、実は大変困難なことのようです。でなければ、おそらく飛鳥の昔からこのような戒めが伝承されては来なかったでしょうからノノ。


 聖籠町の二宮家では、5月24日から6月22日まで、恒例の日本庭園公開とバラ園公開を行ない、併せて2棟の米蔵でも展覧会を開催しました。テレビ各局が紹介し、たいへんな賑わいでした。
 当会では展覧会中、米蔵活用の支援のための募金箱を設置しました。(千早)


 今回は撮影会まちあるき参加者の写真を掲載しました。
渡辺写真館はお休みします。


 
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